戻り駅

 私は息をするのも忘れて三つ目の駅が通りすりぎるのを見送った。


 そして、四つ目の駅に到着したとき、ようやく息を吸い込んだ。


 四時間前駅と書かれたその看板は今まで見てきたどの看板よりも古ぼけていて、ようやく文字を読み取ることができる程度だった。


 私が電車を降りると六人の精霊は羽を羽ばたかせながら後ろをついてきた。


 しかし私が無人駅の中へ入ると同時にその場にとどまり、ひそひそとなにか会話を始めた。


その中に「大丈夫かな」「心配だね」という言葉を聞き取ることができたので、私は駅の中で一度立ち止まり、振り向いた。精霊たちは本当に不安そうな表情で私を見ていた。


「大丈夫だから、心配しないで」


 それだけ言い、きびすを返すと四時間前の駅へと舞い戻ったのだった。