「今日は気分を変えて歩道橋を歩いてみない?」
「え、あぁ、そういえば歩道橋なんてものもあったな」
上を見上げて誠が言う。
「ちょうど赤信号だし、いいよ」
美紗はそう言うとさっさと歩き出してしまった。
私と誠はその後を追いかける。
「ここ使ったの初めてかも」
実際に歩道橋を使ってみると塗装がはげて随分と錆びていることに気がついた。なんだかここを渡るほうが危険な気がして、つい注意深くなってしまう。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。簡単に崩れ落ちたりはしないだろうから」
誠に笑いながら言われてようやく体を真っ直ぐにして階段を上がることができた。
「そうだよね、いくらなんでもそんなことまで起きないよね」
そう言って苦笑いを浮かべる。
つい、昔読んだ小説の内容を思い出していたのだ。
何度も同じ日を繰り返し、恋人の死を救おうとする物語だが、どれだけ頑張っても恋人は最後に死んでしまう。それが定められた運命で絶対に変えることはできない。
その作品の中でなら、この歩道橋が落下してしまってもおかしくはなかった。
三人が階段を上がりきったとき、向こう側の階段を下りていく人影が見えた気がした。その人物はやけに慌てている様子で、階段を駆け下りる足音だけが聞こえてきた。
「え、あぁ、そういえば歩道橋なんてものもあったな」
上を見上げて誠が言う。
「ちょうど赤信号だし、いいよ」
美紗はそう言うとさっさと歩き出してしまった。
私と誠はその後を追いかける。
「ここ使ったの初めてかも」
実際に歩道橋を使ってみると塗装がはげて随分と錆びていることに気がついた。なんだかここを渡るほうが危険な気がして、つい注意深くなってしまう。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。簡単に崩れ落ちたりはしないだろうから」
誠に笑いながら言われてようやく体を真っ直ぐにして階段を上がることができた。
「そうだよね、いくらなんでもそんなことまで起きないよね」
そう言って苦笑いを浮かべる。
つい、昔読んだ小説の内容を思い出していたのだ。
何度も同じ日を繰り返し、恋人の死を救おうとする物語だが、どれだけ頑張っても恋人は最後に死んでしまう。それが定められた運命で絶対に変えることはできない。
その作品の中でなら、この歩道橋が落下してしまってもおかしくはなかった。
三人が階段を上がりきったとき、向こう側の階段を下りていく人影が見えた気がした。その人物はやけに慌てている様子で、階段を駆け下りる足音だけが聞こえてきた。



