戻り駅

☆☆☆

 とても久しぶりに感じる学校が終わり、私と誠の二人は並んで校門を抜けた。


「今日バイトは?」


「五時から夜の9時まで」


「それならまだ時間があるね」


 二人並んで歩きながら足は自然と駅へと向かっていた。


 なにもそれらしい会話はなかったけれど、二人とも駅を確認したいという気持ちは一致していた。


 電車通学の学生たちの流れに身を任せて歩くと、すぐに駅が見えてきた。ロータリーの中央におかれた蒸気機関車の展示。派出所の前には三毛猫が寝転がって昼寝をしている。


 学生たちが駅の中へ吸い込まれていく中、私と誠は同時に立ち止まっていた。


 そこはいつも私がこけていた場所だ。


 自分のヒザを確認してみても、もちろん傷はできていない。


「ここで転んだら、戻り駅が現れた」


「ちょっとやってみようか」