戻り駅

 だけど周りに頼ることのできる人間が沢山いたらどうだろう?


 良治の選択しはもっと増えて、犯罪に手を染める可能性はどんどん低くなる。


 良治の話を聞きながら美紗は途中からボロボロと涙をこぼし始めた。


良治に抱きついて「なにかあったら私たちに言って! なんでも相談に乗るし、手伝いだってする! そうだ、私良治のためにご飯を作りに行くよ!」と、懸命に気持ちを伝えている。


 美紗に抱きつかれた良治は戸惑い、耳まで真っ赤になってしまっている。


「あ、ありがとう美紗」


 良治はそういって美紗の背中に恐る恐ると言った様子で両手を回した。


 すると美紗はパッと顔を上げて良治を見上げた。


 キスでもできそうな距離にこちらまで恥ずかしくなってきて視線を外した。


「だけど私家政婦は嫌だからね?」


 さっきまで泣いていた美紗の突き刺すような口調に、私はすぐに視線を戻してしまった。


美紗はまだジッと良治のことを見上げていて、良治は逃げ出すこともできずに赤い顔をして美紗を見つめている。


「だから、私をお嫁さんにして!」


 衝撃的な告白に二人に注目してたクラスメートたちがざわついた。