戻り駅

☆☆☆

「コンビニ?」


 誠につれてこられた先は学校から一番近いコンビニエンスストアで、私は拍子抜けした声をあげてしまった。


「そ」


 誠は笑顔でうなずき、店内へ入っていく。


自動ドアの軽快な音楽を聴きながら誠の後に続くと「いらっしゃいませー!」と、元気な声が聞こえてきた。


 そちらへ顔を向けると青いユニフォーム姿の良治がスイーツの品だしをしているところだった。


 私は目を見開いて良治を見つめる。


良治は誠の姿に気がついて立ち上がり「よぉ」と片手を挙げて挨拶してきた。


「俺たち、一緒にここでバイト始めたんだ」


 誠は良治の隣に立ち、ニカッと白い歯を覗かせて笑ってそう言ったのだった。


「そもそも、良治がお金に困りはじめた原因はなんなの?」


 良治が早めに休憩に入り、私たちは近くの公園に来ていた。


 太陽は徐々に頭上へと向かっていてすでに肌は焼けるように暑い。だけど木陰のベンチに座っていると風に心地よさを感じた。


「母親が入院したんだ」


「入院? え、でも良治の家ってたしか……」