戻り駅

 今回良治は銀行強盗の片腕になることはなかったようだけれど、それでは根本的な解決にはならない。


 下手をすればまた今回と同じような悲惨な事件が起こってしまうかもしれないのだ。


 私は誠の手を強く握り締めた。


 もう二度と誠を失う悲しみなんて味わいたくはなかった。


「だから俺、良治の話をしっかりと聞くことにしたんだ。どうしてそんなに金が必要なのか」


 誠はそこまで言うと言葉を切った。


「理由はちゃんと本人から聞いたほうはいいかもな。よし、じゃあそろそろ行くか」


「え、行くってどこへ?」


 急に立ち上がった誠へ聞く。


誠はニヤリと笑って「良治のバイト先」と、返事をしたのだった。