戻り駅

「大丈夫か?」


「うん。なんだか、頭が痛くて」


 右手で後頭部を抑えて言うと、誠は泣き出してしまいそうな表情になった。


「ねぇ、そのメールってなんだったの?」


「割のいいバイトが見つかりそうだっていう内容だった。そのバイトがなんなのか深く聞くことはしていなかったんだけど、それが最悪な結果になったんだ」


 誠からすれば、私が死ぬ結果になったわけだ。


「だから俺は良治にバイトなんてやめるように伝えたんだ。絶対によくない結果で終わるって」


 私はうなづいた。


 そのバイトがなんなのか私は知らないハズなのに、誠の言葉にひどく共感することができた。


 もしかして私が死んだとき、私はなにか重要な事実を掴んでいたのかもしれない。


 その時の記憶は消滅してしまっているようだけれど、確かになにかがった手ごたえだけは感じていた。


「良治はそれで俺にバイトの内容を感付かれたと思ったんだろうな、良治は俺も一緒にやらないかって誘ってきた」


「ダメ!!」


 私は無意識の内に叫んでいた。