戻り駅

☆☆☆

　部屋に戻って私と誠は向かい合って座っていた。


　私は相変わらずパジャマ姿だったけれど、着替えている暇なんてなかった。今すぐにでもなにがあったのか知りたい。


　絶対に避けられなかったあの事故をどうやって回避したのか知りたい。


「驚かないで聞いてほしい」


　誠は最初にそう前置きをして話し始めた。


「琴音、お前は一度死んでいるんだ」


誠の言葉に私は「え？」と聞き返した。


　死んだのは誠でしょう？


　一度じゃなく、二度も三度も死んだんだ。


「戻り駅の噂を覚えてる？」


「うん、覚えてる」


　私は素直にうなづいた。


　そしてそれが本当に存在していたことも、私はもう知っている。


「あれは本当だったんだ。俺は琴音が死んだとき、その汽車に乗った」


「六人の精霊たち」


　私は思わず呟いていた。


　あの精霊たちの姿が不意に頭に浮かんできたのだ。