この気持ちは……。この気持ちの正体は……。

「そういえば、先生って……」

「ん?」

「先生って……結婚、してましたっけ?」

 えっ……? 私、何聞いてるの?!

 あれ?おかしい。 こんなこと、聞くつもり全くなかったのに。
 なんでこんなこと、聞いちゃったのだろう?!

「結婚? してる訳ないだろ?」

「……え?」

 結婚、してない……? てっきり私……先生が結婚してるものだと思ってた。

「結婚してたら、病院搬送された時、普通に嫁一緒に来てるだろ?」

「……た、確かに」

 先生は確かに、いつも一人だ。私が会う時、先生はいつも一人だった。
 結婚してれば、確かに付き添いがいてもおかしくない。 現に今も、一人だし……。

「結婚したいと思ってた人は、いたんだけどな」

「……え?」

 結婚したい人が……いた? 先生に……?

 なぜだかその言葉を聞いた時、私の胸がざわざわするのが分かった。 このざわざわした気持ちの正体は、もしかして……。

「……嫉妬?」

「え?」

「いえ、なんでもないです……」

 私……もしかして、嫉妬してるの? 先生が結婚していないと知って安心したし、胸がざわざわした。