先生は私の隣で「今帰りか?」と問いかけてくる。

「はい。……先生も?」

「ああ」

 まさか先生とこのバスで会うなんて……。これって、運命なの……?
 それとも……。

「仕事、大変か?」

 そんなことを考えていると、先生は私に話しかけてくる。

「まあ、はい……大変です」

「医者は忙しそうだもんな。 ちゃんと食べてるのか?」

 え? 先生、私のこと……。心配してくれてるの?

「……花霞?」

 返答のない私に、先生が私の顔をのぞき込んでくる。

「あっ……食べて、ます。ちゃんと」

 先生と目が合うだけで、なぜかドキッとする。 なんでだろうか……。
 やっぱり、昔好きだった人、だから……?

「自炊してるのか?ちゃんと」

「してますよ?……一応」

 料理は結構苦手だけど、やる時はやる。女子力、あんまりないけど。

「そうか。 身体には気をつけろよ?医者だからって油断すると、不健康サインが出るぞ」

 先生ってば、私のこと心配しすぎ……?

「心配しなくても大丈夫ですよ。 私は、ちゃんと無理しない程度に留めてますから」

「そうか。ならいいが」

 なんか……私、先生といると、自分じゃないみたいにときめく気がする。