「俺は、ヒロインが一人で逃げ出したんだと思う」


 勇気あるジョージが声を上げました。
 言うの? 言っちゃうの?


「俺も、メイが誰かに誘拐されるとかは考えづらいと思うな……」


 マティアスも賛同してます。みんな、アランとは目線を合わせないようにしてるのね?


「本人が自分の意思で失踪したものを、コレットの責任にされては困る。どうにかヒロインをすぐに連れ戻す方法はないものか……」


 殿下まで!

 部屋には、時計の秒針の音がカチカチと響き渡ります。一体この沈黙の状態で何分経ったでしょうか。耐えきれなくなったアランが、ついに口を開きました。


「……ぅわあぁぁっ! 分かったよ! 行くよ、俺だろ!」
「アラン! よく決断したな! コレットを守るためだ。頑張って来いよ」
「アラン、応援してる。とにかく床の争奪戦には負けるな!」
「一晩中起きてればいいんじゃない?」


 みんな好き勝手言いますね。この前全ルート廃止の話をしたばかりなのに、私のせいで申し訳ないです。

 でもね、私とってもいいことに気付いてしまったんです。これならアランの操は守られるはずです!


「アラン! 絶対に大丈夫よ! 私に考えがあります。今から私が言うことをよく聞いてね」