これは自分ではどうにもできない案件です。私は家に着くなり、お兄様のいる書斎に飛び込みました。


「コレットお帰り。相談事なら五分で頼む」


 お兄様お忙しいのかしら。五分で相談して結論まで出すなんて……まあ、せっかちなお兄様ならできるかもしれないわね。


「私の友人の話なのですが……。とある人からずっと嫌がらせを受けていたのに、その人が急に友人の事を好き! だの、愛してる! だのと言ってきたらしいのです! このままだと囲い込まれて本当に結婚させられそうで、とても困っているの」
「その男のことが嫌いなのか?」
「……好きでも嫌いでもどっちでもないです」
「嫌がらせされたのに?」
「嫌がらせについてはちゃんと謝ってくれたし、色々と誤解ですれ違っていた部分があって。そこはもうスッキリしたと言うか許したと言うか」
「つまり、今その相手に対する感情がマイナスからゼロになったという事だな。ゼロに対して相手が百で来るから戸惑うんだ。ちゃんと、一から順を追って百まで積み上げるように言え」


 二分で解決しました。

 そうか、私と殿下の温度差がありすぎて戸惑っているのですね。なるほど、急に寒くなると寒暖差アレルギーを起こすのと同じ仕組みなのか!
 私は今、レオナルド殿下アレルギーなのね!


「お兄様、ありがとうございます。解決しました」
「良かった。あまりに酷いようだったら直接レオに注意してやるから、また相談しろよ。三分後に夕食だ! またな!」


 お兄様は夕食までの間に相談を片付けたかったのね。お腹が空いていたのか、もう部屋から出て行ってしまいました。

 ん? 私、友人の話なんですけどって言ったのに。お兄様には全部バレているのかしら?