一通りケンカを繰り広げた後、気を取り直して第二の議題に移ります。

 第二の議題は、今度の夜会について。
 最近のヒロインの動きを見ていると、攻略対象の皆さんに接近するだけではなく、悪役令嬢である私に対して色々とちょっかいを出すようになってきています。殿下の心配ごとは、そこのようです。


「この前も、生徒会室でわざとコケてたし」
「ですよね。どこかの新婚さんの番組かと思いました……」
「新婚?」
「あっ! いえ、何でもありません」


 つまり整理すると、こういうことです。
 今度の夜会は学園の入学祝いも兼ねているので、貴族の子女たちがたくさん集まる。もちろん国王陛下もいらっしゃる。

 
「そんな場で、先日のようにメイがコレットにいじめられたかのように自作自演したらどうなると思う?」
「国王陛下の前で私が悪者に仕立て上げられてしまうわけですね。私のことを、殿下の婚約者として不適切な人物であると示したいのでしょうか」
「そうだ。もしメイが王太子ルートを選ぶのなら、こんな舞台を逃すはずがない」


 むむっ、犯罪のにおいがプンプンしますね。ここぞ悪役令嬢の出番な気がします。


「メイが何か仕掛けて来ないか全員で気を付けよう。例え何か仕掛けてきたとしても、この四人でコレットを守る。コレット、どうか安心して欲しい。それにもう既にエリオットルートは潰れた。エリオットはリンゼイに婚約の申し込みをしたらしいからな」


 その言葉を聞いたアランの耳がピクっとしました。