私以外の人の前では殿下はあの本性を隠しています。ですから、王宮で働く皆さまにとっては、私と殿下が頻繁に会う本当の恋人同士のように見えるのでしょうね。王宮につくと、いつも皆さまがとても優しい微笑みでお出迎えしてくれるのですが、何だか昨日の今日なので何となく背中がゾワゾワします。
 私たち、そんな関係じゃありませんよー! って叫びたい。

 しばらく廊下を歩くと、キラキラモードの殿下がお出迎えしてくれました。


「コレット、よく来たね」


 殿下はそう言うと、目の前にあった扉を大きく開きます。部屋の中には大きな円卓。そしていつものメンバー、アラン、ジョージ、マティアスの三人がそれを取り囲んでいます。
 ……うん、この集まり、生徒会室でやれば良かったんじゃないでしょうか。


「お前らが四角いテーブルに文句つけるから、わざわざ円卓にしてやったぞ」


 ……で、殿下!
 本性が漏れてます!
 思わず殿下の口をふさごうとしたところ、その前にジョージが口を開きました。


「そこ、別にこだわらなくても良かったんだけどな」
「いや、ジョージが一番円卓にこだわってたじゃないか」
「でも、何もわざわざ王宮まで来なくても……」


 殿下も本性を出しちゃっていましたが、その他の三人もやけに親し気です。いつの間にこんなに打ち解けちゃったんでしょうか。


「コレット、座ろう。俺の隣においで」


 今日も長丁場になりそうですから、私を呼ぶ殿下を無視して円卓の対角線上に座りました。昨日みたいに変なことを言い始めたら怖いですものね。適度な距離を保っておきましょう。