まずは、これまで冷たく当たってきたことへの謝罪だ。そして、『コレットの未来は俺が守る、好きだコレット!』これで決まりだ!

 ……いや、そんな事で上手くいったら神様はいらない。何か保険が欲しいな。

 そうだ! 俺はなぜ忘れていたんだ。ムーンライトフラワーの鉢植えがあるじゃないか。生徒会室から持って帰って、今は俺が持っている。王宮に保管しておくのは危険だと思っていたんだ。人の出入りが多すぎる。

 これをコレットに渡して、『コレット、夏至の夜に二人で見よう。このムーンライトフラワーを』これで行こう。倒置法がいい感じだ。

 ちょっと気持ち悪いかな。

 もし受け取りを拒否されたら、コレットの部屋にそっと置いてこよう。まずはコレットの部屋に侵入だ!

 普段は俺が昼に夜にコレットを呼びつけていたから、俺がコレットを尋ねたら驚くだろうな。夜に呼び出した時には、髪の毛がボッサボサのまま駆けつけてくれた事もあった。あれは悶絶するほど可愛かったが、呼びつける俺は最低だった。


 リード公爵邸に到着して取り次ぎを頼んだ後、俺は応接間で待たせてもらった。なかなかコレットは降りて来ない。相当怒っているだろうな。俺の顔も見たくないだろうか。それとも、もう馬に蹴られて死んでる頃だと思っているだろうか。


「レオ! どうしたんだ! ああ、コレットだな。こっちだ、付いてこいよ」


 通りがかったのは、コレットの兄ジェレミーだ。彼はとにかく合理的でせっかちなので、俺が来ているのを見てすぐにコレットの部屋に案内してくれた。

 最終的な目標に向けて、最短コースを瞬時に選ぶジェレミー。なかなか優秀な人材だ。人に対する礼儀や、人の気持ちを察する能力はゼロだが。

 俺はムーンライトフラワーの鉢植えを手に、コレットの部屋に入った。