授業が始まって二週間が経ちました。いやぁ、思った以上に大変です。家庭教師に教えてもらっているのと違い、理解が追い付いていなくても授業は進んでいきますから。早くも落ちこぼれの予感がします。
 特に、自分が希望して選んだ生物科目。異世界の生物は、前世と全く生態が違う! 覚えるのに一苦労です。


「ねえ、コレット……。これは早速お兄様の力を借りないと、私たち来週のテストで赤点を取ってしまうわ」
「そうね……。さすがに初回テストからコケるわけにはいかないわよね。マティアスのところに行きましょう」


 リード公爵令嬢とベルラント公爵令嬢がそろいもそろって赤点なんて、噂にならないわけがありません。レオナルド殿下の耳にでも入ったら、ますますからかわれるだけな気がしますし。マティアスにしっかり教えてもらいましょう!

 図書室に入り、螺旋階段を上って二階へ。一番奥の窓際の席がマティアスのお気に入り。私たちはまっすぐその席に向かいます。テスト前だからか、こんな奥の方まで席が割と埋まっていますね。


「あ、お兄様!」


 リンゼイがマティアスを見つけました。私もマティアスの方を見ると、彼の隣には見覚えのある人が座っています。


「……メイ様?」


 メイ様はマティアスの右側に陣取り、椅子を寄せてマティアスに密着しながら何か話しています。もしかしてメイ様ったら、マティアスルートを選択したのかしら? 熱い視線をマティアスに送っています。