「王太子殿下はお変わりないかしら? コレット、殿下と仲良くやってる?」


 痛いところを突かれました。
 特に殿下と仲良くもやっていないし、リンゼイと殿下の話題は避けたいところでした。なぜなら、リンゼイと私が殿下の婚約者候補として名前が挙がった時、リンゼイの体の弱さが原因で私に内定したという経緯があるからです。ちょっと気まずいなと思っているのは私だけなのでしょうか。


「リンゼイ。私が殿下の婚約者になって、嫌な思いしたよね……?」


 恐る恐る聞いてみました。リンゼイは笑いながら言います。


「何年前の話よ! 確かに当時は王太子殿下の婚約者になりたいと思っていたから悔しい気持ちもあったかもしれないわね。でも、何年も前の子どもの頃の話よ? それに今、私は別に好きな人がいるの」
「好きな人が?! だれだれ?!」


 入学早々、友人と恋バナをする私。なんだか青春って感じです! リンゼイは、まだ片思いだから相手は言えないと言って教えてくれませんでした。おいおい聞き出さなければいけませんね。リンゼイのためなら、全力で恋の応援をしたいと思います!

 殿下との婚約のことをリンゼイが気にしていなくて良かった。長年の心のつかえが取れた気がします。今日は良い日になりそうですね!