「ぼんやりしてそうなのに芯が強いところも、友達思いのところも、妄想が激しいのにいつも前向きなところも、全部愛しくてたまらない。俺はアランたちにもアホ呼ばわりされるし、すぐカッとなるし、実は泣き上戸だし……まだまだ頼りない男かもしれないけど、何があっても俺がコレットに明るい未来をプレゼントする。だから……俺と結婚してください」


 翠色の瞳が潤んで、縋るように私を見つめます。

 ……ちょっと待って。これがさっきレオ様が言っていたプロポーズのやり直し?

 ロマンチックなプロポーズをして欲しいってずっと思っていたけど、面と向かってこんなに真剣に言われたら、恥ずかしくて死んじゃいそう。

 確かにレオ様は意外とすぐ泣くわよね。それに、アランやジョージからの扱いがヒドイのも知ってる。だって、昔からの友人だし、時にレオ様は横暴なこと言うものね。

 でも、頼りないかって言われたら……それは違うわ。

 馬が暴走した時も、メイに飲み物をかけられた時も、国王陛下に呼び出しくらった時も、いつも私が大変な時は助けてくれた。ディラン様のことだって、レオ様がアランを寄越してくれなかったら大変なことになっていたもの。

 しつこいくらいにこの五カ月の恨みつらみを訴えてしまったけど、私、実は知ってる。

 エアトンできれいな夕日を見たの。この美しい風景も、レオ様が守っているんだなって思った。エアトンだけじゃない。王都がこれだけ平和なのも、みんなが何不自由なく暮らせるのも、リンゼイが安心してルイーズを育てていけるのも、私が絵本やハーブティーを楽しめるのも、全部レオ様がこの国を支えてくれているからだって。

 レオ様が頼りないなんて、そんなことは絶対にない。

 プロポーズの言葉も私のために、柄にもなくロマンチックに言おうとしてくれたのね。やっぱりちょっと不器用だけど……嬉しい。


 ……いいの? 私、幸せになっていいの?

 悪役令嬢コレット・リードじゃなくて、ハッピーエンドを迎えるヒロインとして生きていっていいの?

 思わず息を飲みながらつかんだレオ様の手が、私の心臓と一緒にドクドク言ってる。どうしよう、早くレオ様にお返事しなきゃ。