「コレット……怒っているのか?」
「怒っているか……ですって? 私に怒る権利などございません」


 ほっ……とりあえず、怒っていなくて良かった。だって俺はこれからコレットにプロポーズしようとしているんだぞ。
 陛下が公務に復帰して母上の体調も戻ってきた今、俺たちの結婚の障害になるものは何もないはずだよな。何なら今日にでも結婚したいくらいだ。神殿に行って司祭の前で誓ってくれば終わりだろ?

 ……さすがにそれは常識的にダメか。とりあえず何より先にプロポーズだ。

 さあ、言うぞ。気持ち悪いと思われないように、空気のようにサラっと言うぞ。


「懐妊のことは、俺の誕生日パーティーで発表しようと思っている。それと……俺とコレットのことも……発表するけど、大丈夫か?」


 ……言った!

 コレット、俺たちの結婚発表……していいよな? 断らないでくれ……! お願いします!


「……分かりました。私の、その後のことも考えて頂いているのですよね?」
「ちゃんと考えてる! コレット、本当に長い間婚約者のままで引き留めてしまってすまなかった。今まで本当にありがとう」


 考えてる、考えてるよコレット! 俺たちのこれからのことを!

 誕生日パーティーで結婚を発表するだろ? この後すぐにでも結婚式のスケジュールを確認するよ。大丈夫だ、どんな仕事の予定よりも結婚式を優先する。十三年も待たせてすまなかった。
 どれだけ長い間婚約者やらせてたんだよ、俺は。すぐにでも結婚してコレットのことを、俺のつ……つっ……妻だって、言ってやるんだ! 今まで根気よく待ってくれて、本当にありがとう、コレット。

 誕生日パーティーは明後日だ。なぜかドレスもエスコートも断られてしまったけど、もしかして俺の誕生日に何かサプライズをしてくれるつもりかな? 楽しみだ!

 パーティーではみんなの前で結婚することを発表して、すぐに結婚式の計画を立てよう。神殿で結婚の誓いをしてから、その後に王宮で披露パーティーだな。ドレスも新調しよう。コレットは首が重くて嫌がるかもしれないけど、ザミニ石のネックレスも磨いておかないとな。

 ……最高だ! 絶対に幸せにするから!