「メ……メイ様……」

 忘れもしません、このピンク色のブリブリヘア。初対面の人をまんまと騙すキラキラ笑顔。つい先日レーマン伯爵家から去った、元養女のメイ様!


「あら、コレット。知り合いなの? どこで知り合ったのかしら? 不思議ねぇ」


 お母様が首を傾げて眉をひそめる横で、メイ様はニッコリと笑みを浮かべます。


「初めまして、コレットお嬢様! 私、精一杯勤めさせていただきますので、ぜひよろしくお願いします」
「あ、あなた……まさか私の侍女に?」
「年が近くて話しやすいかと思ったのだけどどうかしら。メイ、コレットをよろしくね。この子少し変わったところがあるから」
「はい奥様! お任せください! コレットお嬢様もジェレミー様も、まとめてドン!」


 やっぱりお兄様狙いじゃないの! あの時、確実に目がハートマークでしたものね。




「どういう事ですか?!」


 もうね、部屋に戻るや否や問い正しましたよ。あれだけ私の変な噂を立てておいて、どうしてまだ付きまとうの?!


「決まってるじゃないの。ジェレミー様の近くにいたいから、です!」
「お兄様は多分、恋愛に全く興味ないと思いますよ。お母様には伝えておくから、早く侍女なんて辞めて帰ってちょうだい!」


 一瞬驚いた後、あからさまに不快な顔をするメイ様。だから言わんこっちゃない!