待つ(・・)というより、私がレオ様のことを好きだと気付いたのはつい最近のお話ですから。むしろ私たちはこれから、という気持ちです。

 あれ、そういえば私。結局レオ様に直接ハッキリと好きって言ったっけ……?


「リンゼイ、私レオ様にちゃんと好きだって伝えたこともないわ。それなのに、レオ様は私を待ってくれているってことかしら」
「まあ……殿下の方もすごいわね。早く伝えれば? 男の人って、女の人以上に待つのは大変なんじゃないかしら」
「なぜ男の人は大変なの?」


 だって……と言いながら、リンゼイが私に耳打ちします。
 うんうん。えっ、えぇっ、そんな……! いやぁっ! リンゼイそんなこと言うのやめてーっ!!


「レオ様はそんな人じゃないわよ!」
「あら、男の人なんてみんなそうなのよ! 今度直接聞いてごらんなさいよ」


 リンゼイったら、何て破廉恥な……! 私の頭の中の思春期少年が暴走しそうよ。レオ様はそんな破廉恥なこと、絶対考えていないんだから!
 リンゼイの言葉に翻弄されたまま授業を終えて自邸に戻ります。しかし今日という一日は、こんなものでは終わりませんでした。


「コレット、今日からうちで働くことになった、あなたの新しい侍女ですよ」


 帰るなりお母さまに呼ばれて紹介されたのは、新しい侍女。
 ん? この髪色、ものすごく見覚えがありますね。新しい侍女、あなたはもしや……


「メイ・ブラウンです! よろしくお願いしますっ!」
「……いやあぁぁっっ!!!」