「メイ様、こんなところでどうされましたか?」
「どうしたもこうしたもありませんよ! ムーンライトフラワーは? どこですか?」
「え?」


 メイ様がムーンライトフラワーを探しているの?

 ……ああ、レオ様と一緒に夏至の日にムーンライトフラワーを見たいのですね。大丈夫です、きちんとレオ様にお返ししてきましたから。夏至の日に一緒に見てくださいね。


「メイ様。つい先ほど、レオ様にお返ししてきました。大丈夫ですよ」
「……大丈夫ですよ、じゃないわよ! 今日がいつだと思ってるの?」
「今日? ええっと……」


 暗闇を全速力で走って来て、顔を合わせるや否やいきなりクイズですか?
 突然言われても困ります。せめて「そもさん!」「せっぱ!」みたいなの挟んでくれませんか? 心の準備が追い付きません。

 とまどう私に、マティアスが近付いて来て言います。

「コレット。今日、僕がムーンライトフラワーを取りに行くと言ったよね。でも、リード公爵邸を訪ねても君は留守だし、ムーンライトフラワーは君が持って出たといわれるし……どういうこと? 今、ムーンライトフラワーはどこに?」
「だから、さっきレオ様にお返ししてきました。この塀の向こうにあるはずよ」
「……それって、花はもう咲いてた?」
「花? だってあれは、夏至の日に咲くんじゃないの?」
「そうよ、コレット様! だから私がさっき確認したじゃないですか。今日はいつだと思ってるんですか?!」


 なんでこんなに皆で寄ってたかって私をイジメるのよ。
 今日が何の日かって? そりゃあ……夏至の日よ、夏至。

 ……あれ? 今日って夏至だっけ?


「夏至だわっ!」
「でしょ? 花は? 花は咲いてた?!」


 ちょっと待ちなさい、思い出すのよコレット。
 さっきレオ様が来るのを待つ間に、鉢に水をあげたわよね。その時、葉っぱに水がかからないように手を添えて……花は……多分、咲いてた気がする。


「咲いてました……」
「オーマイガッ!」