唯一お弁当じゃない黒羽(くろば)くんのお昼ご飯を購買で用意してから、階段を上がる若菜ちゃんに着いていく。

いつもは教室とか中庭とか、色んな場所で食べるけど、今日はどこに行くつもりなんだろう?




「若菜ちゃん、今日はどこで食べるの?」


「んっふふ〜、それはね〜……ジャン! この鍵を使って入れるところ♪」


「……鍵?」




黒羽くんが聞き返すと、若菜ちゃんは見せた鍵をカチャカチャと揺らして、ご満悦な表情を浮かべた。




「これは極秘ルートから仕入れた秘密の鍵でね? なんと、憧れの場所に入れちゃうわけです……!」


「憧れの場所って……」


「……(よう)先輩か」


「バカ、バラしちゃダメ!」


「え? 矢吹(やぶき)先輩?」