「うん。黒羽くんは、お家とかで勉強してるの?」
微笑みを返して問い掛けると、黒羽くんはまたコクリと頷いた。
「そっか。自習って結構大変だよね。教科書だけじゃ分からないところとかない?」
「……ある」
「そうだよね……黒羽くんって、そういう時はどうしてるの?」
「知ってる人に聞く」
「そうなんだ。近くに勉強を教えてくれる人がいると、分からないところは聞けるし、理解は深まるし、いいよね」
頷いて同意を示した黒羽くんを見て、なんだか少し嬉しくなる。
頼れる人がいるのはいいことだ。
詠二お兄ちゃんに黒羽くんのことを頼まれてから、わたしにできることはなんだろうって、ちょっと考えてみた。
今までも、わたしは黒羽くんが癒されたらいいなと思って接していたけど、もっと特別なことができないかなって。