傷だらけの黒猫総長





「開けていいのか?」


「はい」




パカッと蓋を開けた詠二お兄ちゃんは、畳まれたお母さんの服と写真を見ると、顔を驚きに染めた。




「これは……! あの時の写真に、佑香さんの特服か……懐かしいな」


「わたしは、飛翔謳歌(ひしょうおうか)に関わらない方がいいみたいなので。きっと、詠二お兄ちゃんが持ってる方がいいと思うんです」


「あぁ……貰えるなら、ありがたく貰うよ。でも、写真はいいのか?」


「大丈夫です。わたしは15年分の思い出がありますし……他の写真もいっぱいありますから」


「……そうか。ありがとな」




詠二お兄ちゃんは噛み締めるように目を瞑って、木箱の蓋を閉じる。

その様子から、お母さんへの深い親愛の情が伝わってきて……切ないのに、嬉しくなった。




「いつでもお家に来てください。お墓参りも、一緒に行きましょう?」


「あぁ」