黒羽くんが可愛らしい柄の小袋を差し出すと、若菜ちゃんはキョトンとしてから受け取る。
持ち主の手に渡るととてもしっくりくる見た目で、わたしはなんだか納得してしまった。
「“頼まれた”って、若菜ちゃんにだったんだね」
「あぁ」
「そうそう、今日はうっかり倉庫に忘れちゃって〜。ちょうどいいのがコウしかいなかったんだよね」
「倉庫……? あぁ、朝もあそこにいるんだね」
自然に出てきた言葉をすぐに飲み込めなくて、一度首を傾げた。
若菜ちゃんは「あっ」と口を押さえると、黒羽くんをチラッと見上げる。
「あそこの話はするな」
「ごめん……気をつける」
「……それじゃあ、これが最後ってことで、1つ聞いてもいいかな?」
ちょっとお話が出たのに便乗して聞いてみると、黒羽くんはわたしに視線を向けた。