「……俺は、そんな人間じゃない。友達にはなれない」


「どうして? わたしは確かに素敵な人だと思うよ」


「そんな、こと……」




小さな声で、けれど確信を持って否定した黒羽くんは、なんだか危うく……。


ううん。

傷だらけの体を、小さく、小さく丸めて震えている、子猫のように見えた。




「――やっぱり、お友達になろう。黒羽くんがどんな人でも……わたしは、あなたが気になる。あなたのことを、もっと知りたい」


「……!」




ずいっと近づいて黒羽くんの顔を覗き込むと、丸くなった瞳の奥に、傷だらけの心がハッキリと見えた。

手を伸ばして、触れてみたくなる……“もう大丈夫だよ”って、抱き締めてあげたくなる、不思議な感覚。


その正体はきっと、どこかでこの黒猫さんのSOSを感じ取っていたからなんだろう。