腕を掴んだまま言い返すと、黒羽くんは機械的に瞬きをして目を逸らす。




「……それくらい、問題ない」


「あるよ。わたしがいるせいで、黒羽くんが教室に来なくなっちゃったら……わたしは悲しいし、嫌だ」


「……」




素直な気持ちを言うと、黒羽くんの視線はわたしに戻ってきた。


昨日も思ったけど……よく目を合わせてくれる人だ。

突き放そうとしている割に、捕まえれば逃げないし、ちゃんとお話も聞いてくれる。




「あのね、わたしがいると困るなら、話しかけないようにするし、関わらないようにもするよ。だから、わたしのことは気にしないで」




10人中10人と仲良くなれないのは分かってる。

黒羽くんがわたしと仲良くなれない人なら、悲しいけど、距離を置いて過ごすよ。


だから、行かないで。


そんな気持ちを込めて、わたしは黒羽くんを見つめた。