「あ、待ってください! 心がこもっていなくてもいいです、最後に皇輝くんを褒めてあげることはできませんか?」
あっさりとした別れで済ませようとしたお父さんに、そう食い下がってお願いすると、背中を向けようとしたその足は止まる。
「心がこもっていなくても……か。彼女も同じことをよく言っていたな」
思い返すように呟いたお父さんは、皇輝くんに体を向けて、「こちらに来なさい」と呼び寄せた。
視線を下げつつ、恐る恐る近づいた皇輝くんは、ポン、と頭に手を乗せられる。
「よくやった」
「……!」
声に温もりはなく、たった一言だけの機械的な褒め言葉。
“今まで”を報いるには、きっとまだまだ足りないだろうけど、皇輝くんの足元には、ポタポタッと雫が落ちていた。



