「苦しみなど最も不要な感情だ。それを言い訳にして必要な努力・行動を怠る」


「そうやって皇輝くんの心を無視してきた結果が今でしょう!? どうして父親のあなたが皇輝くんを一番傷つけているんですか!」




聞き捨てならない言葉にカッとなって声を荒らげると、お父さんは片方の眉を少し上げる。




「傷つける? おかしなことを。私は皇輝を害したことなどない。それとも、君も“心が傷ついた”などとくだらないことを言うつもりか?」


「っ……」




本当に、分からないの?

なんて、聞くまでもない。


この人は、こういう人なんだ。

だから、感情論を抜き去ってお話をしようと決めたのに。




「……理解できなくても、いいです。ただ、皇輝くんはあなたと同じように生きることができないことを、分かってあげてください」


「同じように、とは?」