「皇輝くんは、どうして今、そんなに強く否定したの? わたしがいいって言っても、傷つけようとしないのはどうして?」


「それ、は……」


「皇輝くんの心が、そうしたくないって言ってるんだよね。ほら、大丈夫だよ。皇輝くんの“ありのままの心”は、こんなに優しい」


「ぁ……、……っ」




とびっきりの笑顔で告げると、皇輝くんはくしゃっと顔を歪めて、綺麗な瞳から涙をこぼした。

わたしはもう一度皇輝くんを抱き締めて、トン、トンと背中を叩く。




「みんなのところに帰ろう? わたし、皇輝くんと詠二お兄ちゃんのお家に、遊びに行ってみたいな」


「……うん……っ」




皇輝くんがそう答えると、後ろの方でホッとした空気が流れた。

ポン、と背中に大きな手が触れて顔を上げると、詠二お兄ちゃんが皇輝くんの頭を撫でていて。


2人まとめて詠二お兄ちゃんに抱き締められて、わたしの頬は緩んだ。