驚いて目を丸くしたわたしは、若菜ちゃんの横の方に見えた、サッと教室前から離れていく人影に一瞬気を取られる。


今の、司くん……?




ガシッ


「“なー”達の言葉じゃ、全然届かなくて……っ! お願いそのちゃんっ、あそこにいたらコウはまたボロボロになっちゃう!」




駆け寄ってわたしの両肩を掴んだ若菜ちゃんの、泣き出しそうな目に息を飲んで、気持ちを切り替えた。




「分かった。詳しく教えて、若菜ちゃん。わたしは何をすればいいの?」


「一緒に来て! コウのお父さんがいない間に、コウを説得しないと!」




そう言って手を引っ張る若菜ちゃんに連れて行かれるまま、わたしは学校を早退して、皇輝くんの“お家”に行くことになった。