「分かった、副総長として総長の代わりはちゃんと務めるよ。だけど……」


「コウはどうする気なの? 今後のことって言ったって、しばらく倉庫に来ないつもり?」


「……まだ暴走族との関連が疑われてる。飛翔謳歌として動くのは、控えた方がいい。俺は……しばらく、“家”にいる」




その後もいくつか話をして、1人で倉庫を出た皇輝は、一度詠二と住まう家に帰った。

けれど、ドアノブに伸ばした手は玄関の扉を開くことなく、ぶらりと下ろされる。


しばらくの間、玄関の前で視線を落としていた皇輝は、ふらっと踵を返すと、街を彷徨い――……。

日が沈んできた頃、とある高層マンションの前で、その足は止まっていた。