昨日も吐いた嘘をするりと口にすると、司くんは納得していないような顔で、それでも「そう、なんだ」と言ってくれる。
司くんは“不良だから”不良の人が嫌いなわけじゃなくて、司くんなりの基準があって、許せないところに位置する人を嫌ってるだけ。
だから、皇輝くんとも話せば分かり合えると思うのだけど、きっと今は聞く耳を持ってくれないだろう。
「ね、2組のあの人停学になったんだって?」
「うん。かっこいいけどやばい不良だし、停学になってよかった」
「ほんと〜。昨日の人達もあの人に会いに来てたんでしょ? 怖いよね」
「進学校なのになんであんな怖い不良がいるんだか」
色んなクラスの人が入り混じる廊下だからか、そんな噂話が聞こえてきて、グッと唇を引き結んだ。
怖いのはあの人達であって、皇輝くんじゃないのに。



