「現場を押さえられちゃったからね。停学で済んだ分、まだマシな方だよ。この学校じゃ1回で退学もありえるから」
「そう……ですか……ごめんなさい、ご迷惑をおかけして……」
「そんなに気に病まないで。元々、学校への殴り込みを許してしまったのは、僕達飛翔謳歌の落ち度なんだ」
申し訳なさそうに微笑む矢吹先輩を見て、「でも」と言い淀む。
「市松さんにはお礼を言いに来たんだよ。昨日、僕達に合わせてくれたでしょう?」
「え……?」
ニコリと話を変えた矢吹先輩に戸惑うと、“お礼”の補足をされた。
「皇輝が飛翔謳歌の総長だって、言わないでくれたみたいだから。おかげで総長を置いて行ったのも、無駄にならなかったよ」
「それは……えっと、言わない方がいいのかなと思って」



