若菜ちゃんや矢吹先輩、飛翔謳歌の人達は完全にこの場から離れて、わたしと皇輝くん、逃げ遅れた悪い人達だけが残される。

わたしはそれでも男の人に攻撃し続けている皇輝くんに駆け寄って、その背中に抱き着いた。




「皇輝くん、もう止めていいよ……っ!」


ピタッ


「……苑香?」


「うん。怒ってくれてありがとう、もう終わりにしよう……?」




どこかぼうっとした様子の皇輝くんは、コクンと頷いて体の力を抜く。

胸を掴まれていた男の人は、それによってドサッと地面に倒れたけど、うめき声もあがらなかった。




「クソッ、てめぇも道連れにしてやる!」


「ハハッ、仲間に見捨てられた気分はどうだ!? サツに捕まったらお前も終いだ!」


「!」




皇輝くんが止まってくれてホッとしていると、悪い人達が逃げることを諦めて、こちらに向かってくる。