Side:市松(いちまつ)苑香(そのか)


お母さんが交通事故に遭って、病院に運ばれたと聞いたのは2月18日のことだった。

高校受験を終えた後だったわたしは、おばあちゃんと急いで病院に駆け付けたのだけど、教えられたのは“助からなかった”ことだけ。




「あぁ……あぁ、佑香(ゆうか)さんまで、こんなに若くして逝ってしまうなんて……」




わたしのお父さんは6年前に病気で他界していたから、もう、残された家族はおばあちゃん1人だった。

わたし達2人は、お母さんの前で一緒に泣き崩れて……けれど、色んな手続きにも追われて。


お葬式の日が過ぎた後、涙と共に生活するわたしの頭に浮かんだのは、お母さんの教えだった。