傷だらけの黒猫総長



強ばってすぐに動けない体は、ぎゅっと温かい腕に抱き寄せられて。




「お前が苑香に近づくな……!」


「ぁ……」




今までに聞いたことがない、皇輝くんの荒い声。

恐る恐る目を開けると、そこには激怒が滲む瞳があった。




「皇輝、くん……よか……っ、う、うぅ〜……っ!」




一気に安心して、皇輝くんの少し乱れた制服を掴みながら、肩に顔を埋めて泣きじゃくる。

皇輝くんはわたしの後頭部に手を添えながら、優しく声をかけてくれた。




「ごめん。もう大丈夫だから」


「ぅん……っ、ごめんね、勝手に追いかけたりして……っ」


「苑香を不安にさせた俺が悪い。すぐ始末するから、少しだけ待ってて」




ぎゅうとわたしを抱き締めた皇輝くんは、そっと体を離して、刺激しないように優しく、ジンジンと痛むわたしの頬に触れる。