「おぉ、怖い怖い。でも安心しろ。たった今決めた、この女はボコらねぇ。そんなことより、てめぇから奪ってやる方が面白そうだ」
顎を掴まれて無理やり顔を動かされ、ニヤニヤ笑う男の人に見下ろされる。
悪意に満ちたその目が震えるほどに怖くて、「ゃ……っ」と喉の奥からか細い声が出た。
「そんな怯えた目ぇするなよ。オレは優しいから、ちゃんと段階を踏んでゆっくりいたぶってやる。まずはキスからいこうか……?」
「っ……ぃゃ、皇輝くん……!」
囁かれた言葉に体が強ばって、すぐに好きな人の顔が浮かぶ。
近づいてくる顔から逃げられず、涙をこぼしながらきつく目を瞑ると、「たすけて」と声にもならない吐息が漏れた。
バキッ
「ガッ!?」
「っ……?」
唇に何かの感触が襲ってくる前に、男の人からうめき声が聞こえて、わたしを拘束していた腕が離れる。



