教室はざわざわとして、心の内が読めない瞳で窓の外を見ている皇輝くんに、みんなの注目が集まる。


わたしも、事情はよく分からないけど……“飛翔謳歌”の名前を聞いて、あの人達がなんなのか、分かったような気がする。


きっと、暴走族……だよね?




「失礼します」


「待て、黒羽。彼らと関わりがあるのか?」


「……いえ。無関係です」


「皇輝くん……っ」




席を離れる皇輝くんを呼び止めると、振り向いた瞳はわたしを映して、温かく変化する。




「大丈夫、保健室で休むだけだから」


「本当に……?」


「うん」




真っ直ぐ目を見て頷いてくれたのに、どうしてか、一線を引かれたような気がした。

でも、引き留める言葉が見つからないうちに皇輝くんは教室を出てしまって、先生が「静かに」とみんなを宥める。