若菜ちゃんと詠二お兄ちゃんが笑ってお話を振ると、黒羽くんはコクンと頷いてわたしに近づいてくる。


その優しさはありがたいんだけど、こんな人がいっぱいの場所で、黒羽くんにお姫様抱っこされるなんて……!




「ま、待って、それはちょっと……!」


「……嫌か?」


「い、嫌……ではないんだけど、その、恥ずかしいかな……っ」


「……そうか」




足を止めてくれた黒羽くんは、みんなの方を向いて、どうする、と問うように視線を向けた。




「……ふむ、なるほど。そういう関係か」


「ハハ、しょうがない。じゃあここは俺の出番だな」


「きゃっ!?」




お姫様抱っこの回避にホッとしていると、詠二お兄ちゃんにヒョイと片手で抱っこされた。