林太郎の言葉が追いうちで、瞳いっぱいにもり上がっていた涙がこぼれた。あとからあとから、あふれてきて止まらない。なぐさめて頭を撫でてほしいと思っていたのは結自身だけれど、本当にされると破壊力が強すぎて卑怯だ。

 泣き声をかんで、涙がおさまるまで泣いて、『今ブサイクになってるだろうから嫌だなあ』と思いながら、顔を上げた。

「ありがとう。林ちゃん」

 林太郎は微笑んで、抱きしめていた両腕を解いた。

 そして両手で結の頬を思いきり挟んだ。

「あのねえ。ずっと思ってたんだけど、付き合ったんだから呼び捨てにしなさいって言ったでしょ。林ちゃんじゃなくて、り・ん・た・ろ・う!」

「え? そ()?」

 頬を挟まれているので、うまく発音できない。

 たしかに付き合うときに、『これから林太郎って呼んでちょうだいね』と言われたが、ずっと『林ちゃん』と呼んでいたし、林ちゃんは林ちゃんで、恥ずかしいので呼べていなかった。

「ほ、本名嫌い()ったらどうしようかなと思っ()