どういう部屋なんだろう。高柳の背に続き、リビングのドアの先に出る。さなえは、あっ、と小さな声をあげた。壁は全面、棚が作りつけられ、膨大な量の本で埋まっている。いや、本かと思ったが違う。本より薄い。高柳から教えてもらった映画のDVDだ。
「これだけあったらあんたの好きな映画があるんやないか」
さなえを振り返り、高柳がにやっと笑った。そう言われてもこんなにたくさんあったら困ってしまう。戸惑うさなえの横に、すっと人がやってきた。
「いらっしゃいませ。ゆっくり選んでくださいね」
黒のジャージに黒のスウェットのその男性はいたずらっぽい笑みを高柳に向けた。
「珍しいね。栄さんが女の子連れてくるなんて」
「俺にだって客ぐらいあるがな。な、イタリア映画って言ったらこの辺かいな」
二人は、映画について語り始めた。さなえがキョロキョロしていると、小さなプレートを見つけた。
『DVD 1枚 300円 2泊3日OK 』
つまりここは、マンションの一室ではあるけれど、レンタルDVDショップなのだ。なるほど、エレベーター1本で行き来できるのなら、確かに便利だ。高柳のような職業なら、ことさら助かるだろう。
本屋と勝手が違って、どうしたらいいかわからず、DVDの背表紙を見ていると、伊藤さん、と高柳に呼ばれた。手招きしている。
「な、この中だったらどれがええ」
4枚のDVDの表紙をずらりと並べて見せられた。さなえは目を白黒させながらも、えいっと一枚選んだ。
「『グラン・ブルー』か。目が高いやん」
そう言うと、高柳は黒ジャージの人に言った。
「じゃ、この4枚で。はい、チケット」
「まいど。いつでもお待ちしています」
ジャージの人は、高柳にDVDの入った袋を渡した。高柳は受け取ると、部屋を出て、また二人でエレベーターに乗った。
「タブレットでサブスクもいいけどなー。古い映画がないとがっかりしてしまうねん。その点、この店は安心や」
「マンションの中にお店があるんですねえ…」
「うん。重宝してる。でもパジャマは禁止らしいで」
「わ、私、大丈夫だったでしょうか?」
さなえは高柳がかしてくれたTシャツとジャージ姿だ。
「大丈夫やろ、あいつもジャージやったし。それにしても、やな。伊藤さん、学生時代クラスの友達と映画に行かんかった?一度も行ったことないなんて、ある?」
「これだけあったらあんたの好きな映画があるんやないか」
さなえを振り返り、高柳がにやっと笑った。そう言われてもこんなにたくさんあったら困ってしまう。戸惑うさなえの横に、すっと人がやってきた。
「いらっしゃいませ。ゆっくり選んでくださいね」
黒のジャージに黒のスウェットのその男性はいたずらっぽい笑みを高柳に向けた。
「珍しいね。栄さんが女の子連れてくるなんて」
「俺にだって客ぐらいあるがな。な、イタリア映画って言ったらこの辺かいな」
二人は、映画について語り始めた。さなえがキョロキョロしていると、小さなプレートを見つけた。
『DVD 1枚 300円 2泊3日OK 』
つまりここは、マンションの一室ではあるけれど、レンタルDVDショップなのだ。なるほど、エレベーター1本で行き来できるのなら、確かに便利だ。高柳のような職業なら、ことさら助かるだろう。
本屋と勝手が違って、どうしたらいいかわからず、DVDの背表紙を見ていると、伊藤さん、と高柳に呼ばれた。手招きしている。
「な、この中だったらどれがええ」
4枚のDVDの表紙をずらりと並べて見せられた。さなえは目を白黒させながらも、えいっと一枚選んだ。
「『グラン・ブルー』か。目が高いやん」
そう言うと、高柳は黒ジャージの人に言った。
「じゃ、この4枚で。はい、チケット」
「まいど。いつでもお待ちしています」
ジャージの人は、高柳にDVDの入った袋を渡した。高柳は受け取ると、部屋を出て、また二人でエレベーターに乗った。
「タブレットでサブスクもいいけどなー。古い映画がないとがっかりしてしまうねん。その点、この店は安心や」
「マンションの中にお店があるんですねえ…」
「うん。重宝してる。でもパジャマは禁止らしいで」
「わ、私、大丈夫だったでしょうか?」
さなえは高柳がかしてくれたTシャツとジャージ姿だ。
「大丈夫やろ、あいつもジャージやったし。それにしても、やな。伊藤さん、学生時代クラスの友達と映画に行かんかった?一度も行ったことないなんて、ある?」



