「えっ?そんな!悪いよ。山田君が風邪ひいちゃう」
「大丈夫。もう1本あるから」
山田君はリュックから折りたたみ傘を出し、小さく左右にふった。
「でも…」
「本当に良いから。じゃあ、また明日。由奈…さん」
「えっ?」
聞き間違いかと、思わず顔を上げる。