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 白熱した群馬春高予選大会は狼栄大学高等学校の優勝で幕を閉じた。そして現在、表彰式が執り行われようとしているのだが、莉愛は大地の腕の中にいた。

「あの……大地、そろそろ離してくれると嬉しいのだけど」

「ん?……嫌だ」

 嫌だって……。

 まるで子供のように駄々をこねる大地に、回りは呆れている様子ではあるが、本日の功労者とも言える大地に誰も何も言わない。

 ああ、もう……誰でも良いから大地に注意して!莉愛がそんな事を思っているうちに、表彰式が始まった。

 群馬体育館に響き渡るアナウンス。

「それでは表彰式を始めたいと思います。二校の選手は並んで下さい」

 二校の選手達が群馬体育館に整列した。そして優勝校がアナウンスされる。

「第一位、狼栄大学高等学校。おめでとうございます」

 前に出た赤尾が表彰状を受け取り頭を下げると、歓声が上がった。狼栄大学高等学校の選手の首に優勝メダルが掛けられていく。



 そして……。



「第二位、犬崎高等学校。おめでとうどざいます」

 津田拓真が前に出て表彰状を受け取り頭お下げ、こちらに振り合えると一瞬の静寂の後、先ほどの歓声よりも大きな歓声が沸き起こった。

「犬崎すごかったぞー!」

「最高の試合だった!」

「感動した!ありがとう」

「来年は頑張れよ。応援してるぞ」


 その優しい声に言葉に犬崎のメンバー達は呆気に取られながら、東京体育館いる沢山の人々から送られた言葉に胸が熱くなった。

 ああ……こんなにも沢山の人達が応援してくれていたんだ。

 応援してくれた人々に向かって私達犬崎は頭を深く下げ、大きな声でお礼の言葉を述べた。



「「「「「「応援ありがとうございました!!」」」」」」



 沢山の拍手の中、犬崎高等学校の皆は手の甲で目を押さえ、涙を流した。

 その涙を流す姿に、更に大きな拍手が体育館に鳴り響く。

 高校生達の青春の涙に、体育館にいた人々は、拍手をしながらもらい泣きをし、体育館が湧いた。

 莉愛もまた、涙しながら皆に拍手を贈った。


 みんな、お疲れ様。

 準優勝おめでとう。


 そして大地、優勝おめでとう。


 割れんばかりの拍手の中、春高群馬県予選大会は幕を閉じたのだった。