草食男子は本性を隠していました。

「ひゃう……っ。」

 その度に変な声が洩れてしまい、声を抑えるのに必死だった。

 も、もう無理……っ。

 バタンキュー寸前になりかけた私だったけど、突然両腕が自由になった。

 う、腕、動くっ……。

 驚いて水樹君を見ると、水樹君は意地悪そうな笑みを浮かべて私を見つめていた。

 その視線とバチッと目が合って、恥ずかしくなる。

 とっさに両手で顔を隠し、顔が真っ赤になっているのを見られないようにしていると水樹君がこんなことを言いだした。

「これくらいで許してあげる。」

 ふふっと微笑みながら言った水樹君に私はすぐにベッドから抜け出し、保健室から出た。

「……~~っ。」

 一人になったとたん体の力が抜け、ぺたりとその場に座り込む。

 さ、さっきの何だったの……?

 いつも敬語で礼儀正しくて大人しい水樹君なのに、さっきのは……。

 ――まるで、獲物を捕られた狼のような瞳をしていた。

 それにあの甘い声……少なくとも私は水樹君のそんな声を聞いたことがない。

 というか、急に何で押し倒して……。