草食男子は本性を隠していました。

「み、水樹君……そろそろ離して……っ!?」

「やっぱり、姫奈は甘いね。」

 抵抗しようと言葉を繋げたけど、やっぱりというかまた言葉を遮られてしまった。

 たださっきと違うのは……水樹君の唇で塞がれてしまったんだ。

 い、今、き、キス……したの?

 訳が分かっていない私に追い打ちをかけるようにして、水樹君は言葉を続ける。

「……姫奈、ほんと可愛い。」

「かっ、かわ……っ!?」

 精神的にキャパオーバーだった私は思わずそんな声を上げてしまった。

 そんな私を見て、目の前の水樹君は不敵な笑みを浮かべている。

「ふふっ……あー、もうほんとにヤバい。」

 前髪をかきあげ、私の耳に口を近づけ今度はこう囁いた水樹君。

「姫奈、どこまで可愛ければ気が済むの?」

「ふにゃぁっ……!」

 耳の近くで言われたから吐息が意図せずとも辺り、変な声を上げてしまう。

 わ、私耳弱いのにっ……。

 水樹君は私の反応で耳が弱いってことを知ってしまったのか、意地悪く耳に吐息を当ててくる。