ちゅっとリップ音を立てて離れていく唇に、徐々に顔に熱が集中していく。

「……っ、なっ……!?」

「ご褒美だって言ったでしょ。」

 意地悪そうにバチッとウインクした水樹君。

 た、確かに嬉しいけど……だから急にキスはダメだって……っ。

「い、意地悪……。」

 ここ最近やたら甘いと思っていたけど、意地悪なのも健在……。

 心臓に悪いからやめてほしいのに……と考えるけど、喜んでしまっている自分もいたから何も言えずにいた。

「ふふっ、今度からずっと名前呼びね。」

 ず、ずっと……?

 そ、それは流石に……っ。

「そうしないとお仕置きしちゃうから。」

 っ……やっぱり意地悪だ!

 私はこの日、改めてみず……彼方君の意地悪さを思い知った。

 【後日譚 終わり】