そう考えて止めようと思ったけど、やっぱり衝動は抑えられなかった。

 また唇を押し当て、自分の舌を姫奈のものに絡ませる。

 ……はぁ、こっちがおかしくなりそう。

 姫奈がキスの合間に甘い声を出すから、こっちが翻弄されてしまう。

 流石にやりすぎたな……と思い、俺は名残惜しくも唇を離した。

 肩を上下させながら呼吸を整えている姫奈が視界いっぱいに広がり、ため息を吐きたくなる。

「ほら、これで信じて?」

 そう聞いてみると、姫奈はゆっくりと首を縦に動かしてくれた。

 ふふっ、これで姫奈も信じてくれたよね。

 だけど姫奈は、どことなく不満そうに膨れっ面をしている。

「急にキスは、ダメっ……!」

 急にはダメ、かぁ……。

 だったら……。

「じゃあキスするよって言ったらいいの?」

 そういうこと、だよね?

 確認するためにそんな疑問を意地悪く挙げてみると、姫奈は慌てて反論した。

「そ、そういう問題じゃないっ!」

 そう言って顔を隠してしまった姫奈。

 そんな姿も可愛すぎる、と考えながら姫奈に優しく言葉をかけた。