「私も、好きっ……。」

 ……え?

 俺は一瞬、姫奈が何を言っているのか分からなくなった。

 さっき俺の気持ちを勢い任せで伝えてしまって、やってしまった……と思った。

 無意識で出た言葉のせいで告白する流れになってしまったから、姫奈がどう返してくるのが不安だった。

 今言うのは卑怯だと分かってた。

 でも、あれをさせられると……歯止めなんて聞かなくなるよ。

『水樹君……ここに、いて?』

 涙目と上目遣いでそうされると……誰でもそうなる。

 だから押し倒してしまった。

 だけど今考えると俺って相当、強引な男だって思われてるはず。

 姫奈に軽蔑されるかもしれない、と思っていた。

 だけど……姫奈も、好きだったの?

 姫奈、と名前を呼ぼうにも姫奈が言葉を遮ってくる。

「私、沢本君からの告白は、断ったの……。」

 そこで一旦言葉を切って、思いもよらない言葉を口にした姫奈。

「私が好きなのは、水樹君だけだからっ……!」

 真っ赤な顔で俺のことを好きだと言ってくれる姫奈に、思わず尋ねる。